2017年の8月で国が、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下、ホームレス自立支援法と称する)」を解消しようとしていることをご存知だろうか?この法律は、自立を望むホームレスに職探しや医療、住居の確保などのサポートを与えることを目的としているが、15年間の時限立法で2017年8月に期限を迎えてしまうのだ。(参照元:大阪市立大学都市研究プラザ)
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減少はしているが、まだまだ助けが必要なホームレス問題。
ホームレスの数は2011年の10,890人と比べて2015年の時点で6,541人と確実に減少している。(参照元:厚生労働省)しかし、市民活動家であり、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授の稲葉 剛(いなば つよし)氏は国が行う調査に対して二点指摘する。一つ目は調査が一定の場所での昼間の目視確認であるため、夜になって帰ってくるホームレスはカウントに入らないということ。二つ目は国が示したホームレスの定義ではネットカフェや知人の家を渡り歩いている人々がそもそもホームレスとして認識されていないということ。(参照元:稲葉剛公式サイト)一概に、調査上でホームレスの数が減ったからといって、問題が解決されたというわけではなさそうだ。

また、現段階で国も認める6,541人のホームレスはどうなってしまうのだろうか。ホームレス自立支援法の消滅に不安を覚える。
一方アメリカのオレゴン州では…。
現在の日本の状況とは対照的に全米一ビール工場とNPOが多いポートランドが位置するオレゴン州、マルトノマ郡では政府が先陣を切って市民団体とともにホームレスに支援する活動を行っている。

2015年から2016年にかけて、マルトノマ郡は4,600家族に住宅を提供することに成功した。そして2016年11月には、なんと約290億円をホームレスの住居のために確保した。しかし、この費用を利用した具体的な政策には数年かかってしまう。そこで今回、その間の対策として面白い取り組みを実験的に始めようとしている。(参照元:Multnomah County)

政府のプロジェクトとは、住民の家の庭にホームレスのために小さな家を建てるというもの。その名も『A Place for You(あなたの居場所)』。5年間の間、ホームレスに庭の家を提供した家には、期間が過ぎた後は自由に家賃を取って貸し出ししていい権利を与えるそうだ。
約11畳の家を建てる費用は政府と募金で集まった資金で負担するため、住民にとっても悪い話ではない。現段階では800人以上が興味を示しているそう。(参照元:BUSINESS INSIDER, Multnomah County)
みんなが安心して暮らせる社会へ

私たちは、毎日の仕事や学校に追われ、日常にいっぱいいっぱいで、普段必ずしも視界に入ってこないホームレスの人々の存在を忘れがちかもしれない。しかし、障害を抱えていても障がい者手帳を持っていないため、福祉制度を利用できていなかったり、虐待やDVに苦しみ社会的に孤立してしまっているホームレスの人が多いそうだ。(参照元:大阪市立大学都市研究プラザ)本来、国や社会は、そういった人を受け入れ擁護するべき立場にあるはずだ。ホームレス自立支援法の消滅はもっての外、日本でも政府が先陣を切って取り組みを強化していくべきなのではないだろうか。
Text by Noemi Minami
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