ホームレスも、難民も、精神病を抱える人も。オーストラリアで社会的弱者を「自転車」で救う人々。

Text: Noemi Minami

2017.5.26

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子どもの頃、初めて自転車に乗れるようになった時の気持ちを覚えているだろうか?何度も転んで、でも諦めずに挑戦し続けて一人で乗れるようになった時の気持ちを。行ける場所が無限大になったような気がして、自由になった感覚を。

オーストラリアのメルボルンに存在する企業GOOD CYCLES(グッド・サイクルズ)は経済的に恵まれていない人や、精神病を抱える人、または難民などなんらかの理由で困難に直面する人々の人生を、自転車を通して変えている。

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創業者Loretta Curtin(ロレッタ・カーティン)と Luke Wright(ルーク・ライト)は一緒に朝ごはんを食べている時に、GOOD CYCLESの軸となる非営利の企業のコンセプトを思いついたという。自転車を売ったり、整備を提供する従来の自転車屋を経営し、その売り上げは全てコミュニティのためのイベントやワークショップに回すというソーシャルビジネスモデルだ。

コミュニティのためのイベントやワークショップは、大学で自転車のイベントしたり、地域の子どもたちに自転車の乗り方を教えたり、難民/精神病を抱える人々/女性など様々なグループに対して自転車の設備についてのクラスを開いている。そして全ての活動は、新しい人に出会い、少しでも多くの人がメルボルンの自転車コミュニティに仲間入りできるような場を提供している。

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また、ホームレスや難民、精神病を抱える人など仕事を見つけるのが難しい状況にいる人たちを対象にThe Pedal Empowerment Programという職業訓練コースも提供している。このコースでは、技術面はもちろんのこと、履歴書の書き方や面接の練習などもサポートする。そのコースを終えた者の中で本気で自転車業界で働きたい人に対しては、実際にGOOD CYCLESで3〜6ヶ月間研修を行い、現実世界でも働けるように徹底的に準備を一緒に行う。このコースを終え、自転車業界で働き始めた卒業生は多い。

※動画が見られない方はこちら

もし宝くじが当たって、大金持ちになってもここに来て働きたいよ

The Pedal Empowerment Programのコースを終え、現在GOOD CYCLESの店舗で修理屋の弟子として学んでいる人の言葉だ。

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地域で問題児だった子どもたちもプログラムを終えた後は、学校での態度や成績も向上したと学校から報告があったそう。

GOOD CYCLEが素晴らしい成果を見せているのは、彼らが単純に仕事を得るのに必要な技術を教えているだけではないからだ。参加者みんなに居場所と、自信や尊厳を得る機会を与えているのだ。メルボルンの助けが必要な人に、人生を変える機会を提供し、まるで初めて自転車に乗れるようになった時みたいに、前よりも「広い世界」と「自由」を与えているのがGOOD CYCLESなのだ。

GOOD CYCLES

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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