
(Photo by UMassAmherst)
図書館は「本を借りるための場所」。
そんな常識が、コペンハーゲンで打ち破られ、世界中に広まっている。
そこで借りられるのは本じゃない。
人だ。

(Photo by Flickr)
8月末に話題になった「感動ポルノ」という言葉、ご存知だろうか。
障害者を劇的・感動的に取り上げる24時間テレビへの批判の中で使われたもので、メディアが自分たちの利益のためにマイノリティの人々の「感動ストーリー」を作り上げ、消費の対象にすることを指す。
これにはメディアが作り出す「虚構」への皮肉が詰まっている。
メディアの作った「恵まれない境遇にいながらも努力し、精いっぱい生きる立派な人」を見た視聴者が「気の毒…」「勇気をもらった!」と“感動”する風潮が、世界中にあるのだ。
「感動ポルノ」の対象になるのは障害者だけではない。
うつ病患者、レイプ被害者など、少しでも“普通の人”と違えば、あっという間に「〇〇な人ってきっとこんな感じ」というステレオタイプができ、消費の対象となる。
しかしその「かわいそうな人像」、果たして真実なのだろうか?
もちろん、苦しい境遇の中で困難と戦っている人々の姿には感銘を受け、尊敬させられる。
だからといって、彼らは「普通の人」に「感動モノ」として祭り上げられ、同情されるために戦っているわけではない。
人を障害や社会的背景でひとくくりにし、判断するのは間違っている。
何かしらのバックグラウンドがあったとしても、それ以前に一人の「人間」であり、一人ひとりの経験は違うのだ。
その人の「本当の生き様」について知りたいのなら、テレビを見るよりも実際に「会って話す」べきではないだろうか。

(Photo by ODEYSSEY)
そんな「感動ポルノ」が生む様々なステレオタイプに立ち向かう活動がある。
それが「ヒューマン・ライブラリー(Human Library)」だ。
コペンハーゲンで2000年に始まり、今世界的な広まりを見せているこのヒューマン・ライブラリー。
「図書館」という名前がついているが、借りられる本は、実際の本ではなく「人」だ。
やってきた人は話したい人を選び、決められた時間内でその人の経験を直接聞くことができる。

(Photo by FACEBOOK)
ヒューマンライブラリーで借りることができる「人」は、障害者や難民、アルコール中毒者、ホームレス、HIV患者、うつ病患者、いじめやレイプの被害者、イスラム教徒、中国人など様々だ。
彼らは何を語るために「図書館の本になった」のだろうか。

(Photo by Human Library)
例えばこの女性、ついているタイトルは「若くしてシングルマザーになった人」だ。
彼女はこう語る。
「若くして子供を産んでもキャリアを作れないわけじゃない。テレビのリアリティーショーでは放送されない“もう一つの道”を、私は伝えていきたいの」
若くして妊娠・出産したせいで遊びも仕事もできないけど、子どもへの愛を胸に子育てに励む―なんてイメージが、シングルマザーにつきがちなのではないだろうか。
そんな世の中の思い込みを打ち破ろうと、彼女は自ら本になり、自分の生き方を語ることを選んだ。

(Photo by Flickr)
「表紙だけで本を判断しないで」
これが、ヒューマンライブラリーが掲げるメッセージだ。
見た目や社会的背景によって貼られたレッテルではなく、ひとりの人間としてのパーソナリティや生き方を本人との「対話」によって知ってほしい。
そんな願いが込められた活動が、ヒューマンライブラリーなのだ。
ヒューマンライブラリーの活動は、北欧から世界中の自治体や学校に広まっている。
さらに、ホームページから応募すれば、だれでも借りられる側の「本」になることもできる。
ひとりひとりの人生が「物語」であり、ただ一つの「ベストセラー」。
“人”を借りられる図書館は、「リアルな生き様」を知ることのできる絶好のスポットだ。
あらゆる「本」との対話は、あなたに新たな価値観や人生のヒントをもたらすかもしれない。
via. Human Library, excite, FACEBOOK
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