「本当にその買い物は必要?」爆買いできる“ブラックフライデー”に、あえてアウトドアを選択する人たち #OptOutside|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #057

Text: NEUT編集部

Photography: Queens

2017.12.4

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今年は狂乱の「Black Friday(ブラックフライデー)」が無事に(?)終わったらしい。今のところ事故の報告はない。Eコマース市場が過去最高の売り上げを記録したというから、これからはその主戦場がネットの海に流れていくのだろう。

正直な話、「SALE」の4文字は魅力的だ。「いつもより安い!→買わなきゃ!」の反射に抗うのは難しい。でも、ふと我にかえり、「これ買う必要あった?」と自問する瞬間が決まって訪れる。「本当に必要なものはなんだろう」なんてことまで考えてしまう。

そんな気持ちを代弁するかのように、米アウトドア用品大手「REI」が3年前に体を張って仕掛けた試みがある。なんとブラックフライデーに、アメリカ中にある店舗とオンラインショップを(強制的に)閉店させたのだ。そのうえで、スタッフにその日の分の給与はしっかりと払い、さらに「アウトドアへ出かけよう」とメッセージを送った。

これが今も続くBlack Fridayへのカウンタームーブメント、#OptOutside」(オプト・アウトサイド、アウトドアの選択)の始まりである。

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ブラックフライデーの新しい伝統を作ろうとするパンクな人々。

このムーブメントの反響は大きく、REIに追随する会社が続々と現れ、ついにその数が170を超えたのが2015年の#OptOutside。「ブラックフライデーの新しい伝統を作ろう」という彼らの呼びかけに消費者も応じ、初年度は140万人がアウトドアに出かけ、現在までに620万もの#OptOutsideがつけられたポストがSNS上に投稿されている。

REIは2016年も#OptOutsideを継続し、今年ももちろんブラックフライデーには全店舗閉店を敢行。また、アメリカの16州が州立公園を無料で解放し、消費からの一時離脱を訴え、SNSには志を共にする仲間たちの投稿であふれかえった。(参照元:gear junkie,REI

私はブラックフライデーに#OptOutsideをすることに決めました。この写真は美しい岸壁と友人のロッククライマーです。

昨日の夕方私は世界の端っこに立っていたの。ここはダンテスビュー(デスバレー国立公園随一のビュースポット)。#OptOutside

あなたは狂気のブラックフライデーから#OptOutsideに逃げました。そこでの思い出を共有してくれてありがとう。いくつかの素敵なひとときを紹介します。

同ムーブメントは海を越えて波及。ノルウェーでは無駄な消費を控え、古着を寄付したり自分の時間を過ごそうという「Green friday(グリーン・フライデー)」が勃興しつつあり、ブラックフライデーにあえて何も買わないカナダ発の「buy nothing day(バイ・ナッシングデー)」は今年で25周年を迎えている。(参照元:YAHOO! JAPAN ニュース, Adbusters

日本はもとより世界的に好況とは言えない昨今、物を売るために業界がとった手段の一つが「イベントの常態化」である。正月が終われば節分の恵方巻、節分が終わればバレンタインというように、一年中次から次へとイベントを取り上げ、それに関連した商品を売る。最近日本ではハロウィーンが定番化したが、これは「土用の丑の日」から続く古典的な商法の一つだ。

しかし消費のためにイベントを消費し、同業を出し抜こうとセールの開始日を少しでも早く設定する現状は、ちょっとやりすぎなんじゃないか?実はブラックフライデーも消費されつつあり、「ブラックフライデー・ウィーク」や「ブラックフライデー・ウィークエンド」なんて笑えない状況に陥りつつある(“消費のための週間”ってまさに狂ってない?)。(参照元:BUSINESS INSAIDER JAPAN

Photo by 撮影者

Photography: Paolo Mottola

REIのCEOを務めるJerry Stritzke(ジェリー・ストリツク)氏は、彼らが始めた#OptOutsideに、これまで過去2年間にわたり700以上の組織と約800万の人々が参加したことに触れ、こう述べている。(参照元:REI, brandchannel

ブラックフライデーにあなたが外出することを選んだとき、人生は豊かで、より結びつき、完璧であるという本質的な真実を思い出す絶好の機会になります。(引用元:REI

今後消費者との真の繋がりを構築する必要がありますが、従来のやり方だとかえってブランドイメージが傷つく可能性があります。小売業界は転換点を迎えているのです。(引用元:Business Insider

私たちがブラックフライデーに#OptOutsideをしたのはなぜか?友人や家族と一緒に大切な時間を過ごすことができるからです。

ストリツク氏の言う“転換点”。それは小売業に限った話ではない。ただ一方的に商品をなるべく多く売りつけるというのではなく、たとえば消費者と生産者が直接繋がったり、地域経済を活性化させるために独自通貨を発行したりと方法はさまざまだが、あらゆる業界が変化のときを迎えている。

シェア文化は今や完全に市民権を得たし、体験共有をキーワードに身近な友だちに資金を募るサービス「POLCA」など、各種ファンディングサービスが続々と芽吹きつつある。今手元にあるお金の使い道は、以前よりもぐっと増えているのだ。商品棚に思わず手を伸ばしてしまうその前に、「これって本当に必要かな?」と考えてみよう。消費の価値は変わりつつある。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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