敵も味方も関係ない。サッカーを愛する者たちが見せた「美しい平和の作り方」 #bedforawayfans |「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #028

2017.5.15

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日本代表の香川真司が所属することで日本でも人気が高いドイツの強豪ボルシア・ドルトムント。

4月11日に起こったその香川真司を含むドルトムントの選手たちを乗せたチームバスが襲撃され、当日に予定されていた試合が翌日に延期になったという一連の事件をご存知の方も多いのではないだろうか。

今回はそんな事件の裏で起こったドルトムントサポーターによるこれがサッカーの力だ!と言わんばかりの“ハッシュタグ・アクティビズム”を紹介したい。

▶︎ハッシュタグ・アクティビズムについてはこちら

チームバスの襲撃事件により試合が翌日に延期になってしまった独ボルシア・ドルトムント vs 仏ASモナコ。その影響でフランスから来ていた対戦相手であるASモナコのサポーターが宿泊場所に困るという事態が発生。これを受けて現地のドルトムントのサポーターたちによりアウェーファンたちのために宿を提供しようという動きが「#bedforawayfans(アウェーファンたちにベッドを)」というハッシュタグのもと広がったのだ。

実際に宿を提供したドルトムントファンや泊めてもらったモナコファンがSNS上で発信していくと共に、愛するクラブがチームバス襲撃という前代未聞の悲劇にさらされるなか、相手サポーターを気遣うこのムーブメントは瞬く間にSNSで拡散され世界のサッカーファンから称賛された。

ドルトムントの公式アカウントもモナコサポーターへ呼びかけた。

モナコの公式アカウントも感謝を表明。

当日の試合会場でもモナコサポーターがドルトムントのユニーフォームやマフラーを身にまといドルトムントとの連帯を表したりと両チームのサポーターがお互いに助け合い団結する姿が数多く見られ、サッカーは90分の試合だけじゃないということを感じさせる美しい光景が広がっていた。

#bedforawayfansを通したSNS上での一連の出来事はサッカーの力、スポーツの力を物語る素晴らしいものだったといえる。

しかし、サッカー界ではいまだ暴力、人種差別、政治介入といった数多くの問題が残っているのも事実。今回のハッシュタグ・アクティビズムを通して、サッカーの持つ人と人をつなぐ力や、サッカーを愛する者たちの団結したときに生み出される力を再確認できた人も多いのではないだろうか?また、これらの力が悪い方向ではなく良い方向に重なることが、差別や偏見のないボーダーレスな平和なサッカー界、スポーツ界を築くための鍵になってくれるに違いない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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