「クリエイティブモーニングス」創設者が語る仕事を『仕事』と思わない方法

Interview: Jun Hirayama

2016.9.9

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みなさんは、Facebook、スターバックス、Twitter、ナイキ、AOL、ハフィントンポスト、ペプシなど世界中で誰もが知っている有名企業の創設者や社長の共通点を知っているだろうか?

大成功を収めている人々に一貫するライフスタイル。それは、彼らがみんな「朝型」であるということである。

「朝型」はなぜ成功するの?

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(Photo by FAVIM.COM)

「早起きは三文の徳」などと昔から言われているが、実際はどうなのだろうか?自律神経の専門家、順天堂大学医学部の小林弘幸教授によると、科学的に朝起きてから午前中までは自律神経のバランスが整う時間だそうだ。脳の働きが一番活発な朝。この時間帯は集中力が高く、クリエイティブな発想が生まれやすいそう。起きた直後からの数時間は、”朝のゴールデンタイム”とも言われているほどだ。また、早起きは精神的に良い効果があると言われている。朝学校や仕事が始まる前に「自分だけの時間」があることで心に余裕が生まれたり、早起きすることによって「自分をコントールできている」という自信が自尊心に繋がるようだ。

だから、『クリエイティブモーニングス』。

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(Photo by Conference Fringe)

そんな「クリエイティブな朝」を大活用して、世界150ヵ国で行われているNY発のクリエイティブな人のための朝活イベント、「クリエイティブモーニングス」。毎月、世界中で統一されたテーマにそってゲストスピーカーが招かれ、トークショー&懇談会が行われている。

Photographer – Phebe Schmidt @ Melbourne

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(Photo by Creative Mornings)

過去のスピーカーの中には豪華にもGoogleやNY Timesで活躍している方々も登壇。入場料無料な上、コーヒーやブレックファーストがなんと無料で提供される。そして各街で行われた「クリエイティブモーニングス」の様子はウェブページで常時更新される。こんな太っ腹な無料のイベントにも関わらず赤字を出し続け、会社として成功を収めていのがNY在住、スイス人デザイナーのティナ・ロス・アイゼンバーグ。

Be inspired!は、NYのスタイリッシュなティナさんのオフィスを訪問し、成功の秘訣や、「クリエイティブモーニングス」の意義などについて、直接お話を聞いてみた。

起業のモチベーションが「お金」だったことは一度もない。

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(Photo by Koki Sato)

現在NYを拠点に世界中にビジネスを広げているティナさんは、そもそもNYに住むつもりすらなかったという。

チューリッヒで仕事もアパートも決まってたから私も両親も絶対スイスに戻ると思っていた。でもニューヨークに到着して20時間も経たないうちに小さなデザイン会社でインターンシップを見つけたの。数週間もすると、正社員としてやらないかって言ってくれたわ。ビザも出してくれるって言うの。『まあ、じゃあ1年ぐらいいよっかな』って感じで。それで1年経ったら、『うーん、もうずっといよっかな』ってなったの(笑)それでもう16年経つわ。

彼女の人生は、人との縁と、チャンスを逃さない行動力や柔軟性で形付けられているようだ。2006年に第一子が生まれ、それをきっかけに自分のデザイン会社を起業したティナさん。ニューヨーク近代美術館など一流レベルのクライアントに恵まれ、4年間続けたが2010年に休止。成功はしていたものの、サービス業が向いていないと気づいたそうだ。

自分の時間が増えた彼女は 2008年から社内で社員のために行っていた「クリエイティブモーニングス」に力を入れ始める。

クリエイティブモーニングの話をよくしていたら、チューリッヒとか世界中の街からも連絡が来るようになった。だから『チューリッヒでもやってくれない?』って連絡してきた会社に言ったの。そんな感じで国際的にも拡大していったわ。世界中のみんなボランティアなの。素敵じゃない!?会場も、朝ごはんを用意してくれるところも無料でやってくれている。スポンサーとのパートナーシップで自分たちの給料は払える。しかも私たちはイベントでも何も売らない。だから『クリエイティブモーニングス』は“金曜日の朝の素敵なプレゼント”みたいってみんな言ってくれるのよ。

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(Photo by Koki Sato)

起業の目的がお金だったことは一度もないと言う彼女。

快適に暮らせる限り、お金にならなくても、幸せになれるような仕事がしたいの。起業するならそれをはっきりさせておかないといけない。特に『クリエイティブ・モーニングス』なんてビジネス面では意味不明でしょ?世界中で入場料無料、朝ごはんつき、広い会場でやるって…。みんな『あなたは頭おかしいの?』って言ってくるの(笑)

お金のためではないのなら、なんのために「クリエイティブモーニングス」を続けるのか。それは純粋にアーティストの輪を作りたいから。本人がアーティストだからこそわかる、クリエイティブな仕事の苦労を彼女は知っている。

クリエイティブな人生をおくりたいなら、勇気が必要。クリエイティブなことをするってリスクも大きいのよ。自分の繊細な部分を世界に発信することになる。人はあなたの作品を批判するかもしれないし、笑うかもしれない。だからサポートが必要なの。そんな時コミュニティがあれば助け合える。

ティナさんに、クリエイティブコミュニティの良いメンバーになるための要素は何かと聞くと、一言だけ、強い意志を感じさせる声で言った。

他人を思いやる心だけよ。

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(Photo by Koki Sato)

ティナさんの会社は、ティナさんの人間としての魅力、そして「楽しいこと」「人を幸せにすること」を原動力とする素敵な信念に人が惹きつけられ世界中に広がり続けている。彼女は、仕事を心の底から楽しんでいるのだ。

仕事を愛しているの。それに私のチームも愛している。これは危険なことでもあるかもしれないけれど、私は『仕事』と『人生』を分けて考えてないわ。オフィスを見れば、家のリビングルームみたいだってわかるでしょ。子供もいつもここに来る。仕事をしていても『仕事』って感じがしないものを見つけると、他のことをしている自分が想像できなくなるの!今まで私たちが実現してきたことを一生誇りに思うわ。世界中の人に幸せと充実感を与えられいる。毎日仕事場まで走っていきたいぐらいだわ!

ティナさんのお話を聞いて、仕事の在り方について考えさせられた。特に日本の新卒一括採用や年功序列の文化が、人々が「やりたいこと」を実現するのを難しくしている。みんなが「仕事をしていても『仕事』と感じない」ような仕事を見つけられるように、私たちも考えていくべきなのかもしれない。

東京でも「クリエイティブコミュニティ」を作ろう!

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Be Inspired!でも、クリエイティブな人々が交流し、インスピレーションを分かち合う場を作るために、『ネオエシカルモーニング』という「朝活イベント」を去年2015年10月に開始した。

そして、今週の日曜日、4回目の『ネオエシカルモーニング』が開催される。朝のクリエイティビティを活用して、クリエイティブに成功している人たちから刺激を受け、素敵な日曜日を過ごしてはいかがだろうか。

ティナ・ロス・アイゼンバーグ

ティナ・ロス・アイゼンバーグはスイス生まれのNYを拠点としているグラフィックデザイナー。過去10年で、可愛らしいタトゥースッテカーブランド「Tattly」や「クリエイティブモーニングス」を設立し、運営している。彼女の信念は、寛大な心と優しさを常に持つこと。世界中にビジネスを発展させている。

Creative Mornings: https://creativemornings.com/
Tattly: http://tattly.com/
Swissmiss(Blog): http://www.swiss-miss.com/

via. Excite, 自律神経失調症-完璧ガイド

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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