「担保は私の裸体」。「学費」が払えなければ、「脱ぐ」しかないのか


多くの学生が大学に進学する時代。それに向けて高校生、浪人生のみなさんが将来のために、まずは一生懸命に勉強をしていることだろう。しかし、それと同時に心のどこかで心配をしてしまうのではないだろうか。

「学費、大丈夫かな……」。親に支払ってもらうのか、奨学金を借りるのか……。これからもこの悩みは受験生たちを苦しめていくのか。

「担保」は、「私の体」

(Photo by  Xi)

(Photo by Xi)

 今、中国で問題になっているのは、女子大生が「裸を担保」に金融業者からお金を借りる事件である。この融資の方法は別名、「裸ローン」。本来ならば土地や建物などの財産を担保として融資を受けるのだが、彼女たちは担保となるような財産がない。

 そのため、裸の写真を差し出し、多額の融資の承諾を得るそうだ。もし期限を過ぎても返済が完了しなかった場合には、裸の画像がネットにばらまかれる決まりになっている。もちろんこれは違法行為にあたるが、未だに取り締まりが強化されていないのが現状だ。

「ヌード」は学ぶための「唯一の方法」

 この事件の背景には、中国の学費が値上がりし続けていることがあげられる。4年制の大学に通う場合に必要なお金は平均4万元(約61万円)。この費用はここ30年で、30倍にも上昇した。富裕層には手の届く額であるかもしれない。しかし、農村民の1一人当たりの年収はわずか3万元(約46万円)ということを考えると大きな負担である。なんとかして学びたい学生が、なんとかしてお金を得るために「脱ぐ」という方法を選択してしまっているのだ。(中国通信社

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(Photo by Dom Jamieson)

戻らない「奨学金」、925億

 それに対し、日本の現状を考えると恵まれているの……かもしれない。日本には「奨学金制度」というものがあり、きちんと学生がお金を借りることができる仕組みが整っているのだ。

 日本学生支援機構が2012年に行った「学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学学部で52.5パーセント。2人に1人の学生が、奨学金制度を利用している。しかし、残念なことは、そのうちの11パーセントが返納を滞納しているということである。その総計は約925億円にも上るという。(参照元:生命保険文化センター

 滞納してしまう人の理由の多くは「本人の所得の低下」だそうだ。奨学金制度といえど、これは借金と同じもの。停滞が進むとブラックリスト入りしてクレジットカードの作成やローンを組むことができなくなってしまう。

日本の学費は、欧州諸国の「54倍」

 しかし、この奨学金制度があること自体が問題なのかもしれない。なぜなら、日本は先進国の中でも大学の学費が最も高い国であると言われている。そもそも、「学費を支払う」ということ自体が問題なのだ。

 日本では、国立大学の授業料でも平均で年間約54万円。私立の場合だと文系約75万円、理系私立大学に進学すると103万円もかかってしまう。これに入学金や通学費、教科書代などを入れたらもっと高額だ。

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(Photo by Pixabay)

 ちなみに同じ先進国でも、スウェーデン、ノルウェー、ドイツの大学費用はほぼ0円。同様に、欧州諸国でも学費0円という国がほとんどだ。それもそのはず、それら諸国は、国連総会で採択された「学費無料化目指す条約」を承認し、それに従ってきたからだ。それでは日本はその条約を無視しているのか。

 実は日本は最近まで、そもそもこの条約に同意をしてなかったのだ。この条約を保留としたのは、条約批准160カ国で日本とマダガスカルだけ。日本は、4年前に撤回はしたものの、出だしが遅れたにも関わらず、現在も具体的な見通しは立っていない。(参照元:SOCIOUS101

「国際常識」から外れる日本

 奨学金の延滞は、最近よく聞く日本の大きな問題である。文部科学省もこの事態を受け、奨学金の無利子枠を拡大し、学ぶ意欲がある人に対する経済支援を進めると発表した。

 しかし、変化を遂げなければいけないのは、学生に対する経済支援よりも、そもそも、大学が人を育てる場ではなく、ビジネスの場となってしまっていることではないだろうか。少子化だからこそ、生徒数を増やそうする大学が多い。それでも、本来の教育の未来を考えるのであれば、少子化だからこそ、いい人材を育てることに力を注ぐべきだ。

 日本では、大学に受験をしようとするだけでお金がかかる。そして、受験をしたあとも、謎の出費「入学金」の準備に追われる。第一志望の合格発表日が滑り止めの大学の入学金支払い期日よりも先であったら、入学をしないのに、なぜか入学金だけを支払わなければならない事態が起こるからだ。そうならないように、入学金の支払日と合格日に左右されながら、受験校を決めていくという人も多いが、その試みもなんだか不思議である。

 もちろん、「学費の無償化」は一筋縄では推進できない事情も理解できる。しかし、それは、国際社会の常識とは異なる考え方であると知っておく必要もあるかもしれない。

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Text by Asuka Yoshida
ーBe inspired!

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