「世界平和にはポルノが必要」と本気で考えたAVプロダクションによる、国際人権NGOのための作品とは

2017.10.7

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2011年に東日本大震災が起きたあと、AKB48などの歌手たちがイベントで募金を呼びかけたり、コンサートの売り上げを被災地に送る慈善活動をしていたのを覚えているのだろうか。

アメリカでも、アフリカで起きた飢饉に対し、1985年にマイケル・ジャクソンをはじめとする多くの歌手が『We are the World』(直訳:私たちが世界)という曲を歌う大規模なチャリティを行なっている。このような「音楽」を通じた慈善活動は日本でも広く認知されているが、チャリティの方法はそれだけではない。最近では「ポルノ」を使ったチャリティもあるというのだ。

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ベルリンの湖の辺りで、全裸や下着姿、服を着たままの大勢の人が一同に互いの身体を触ったりセックスをしたりしている。それがオルタナティブなポルノ『We Are the (fucking) World』(直訳:私たちがセックスの世界)の撮影現場だ。このポルノの特徴は、とにかく多様なセクシュアリティ*1の人が出演しているところにある。男性や女性、自分をそのどちらとも認識しない人、自分の身体の性別と心の性別が一致する人・しない人、異性愛者やその他の性的指向の人などだ。また、人種的にも多様性に富んでいる。(参照元:XConfessions, DAZED

(*1)性行動に関わる行動や傾向などの総称

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制作された背景にあったのは、撮影監督の「ポジティブで、出演者を尊重する、クリエイティブなSEXビデオがあれば、世界はよくなる」という思いだ。そこで、同作は多様なセクシュアリティの人に対する差別や偏見に抗議する「慈善ポルノ」として作られたのだという。実際に出演者は自らの出演料の半分を、プロダクションは制作費の半分を、同じ問題に取り組む国際人権NGOの「アムネスティーインターナショナル」に寄付している。

また制作したプロダクション「XConfessions」は他の作品を撮る際にも、従来ポルノとは正反対で、女性を蔑むような演出は一切なく、自然なセックスを見せ、出演者を尊重することに強いこだわりを持つ。たとえば、それぞれのシーンや体位で「出演者のOK」を得なければ撮影しないほど、徹底しているのだ。彼らを「ポルノ」という視覚的にパワフルな媒体を使う、“アクティビスト集団”と呼んでも決して言い過ぎではないだろう。

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アフリカの飢饉のために、アメリカの有名歌手が集まって発表した『We Are The World 』から約30年。次の世代の若者たちはセクシュアリティを越えたポルノ作品『We Are the (fucking) World』を作ることで、世界をよくしようとしている。ポルノをめぐる問題は、出演の強要や女性を軽視した行為が盛り込まれていることなど数多くある。だがポルノの話を含む性的な話題は表立って話されにくいからこそ、新しく制作されるポルノから作り方や内容を変えていくことが必要なのではないだろうか。

XConfessions

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Erika Lust

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XConfessionsを設立したポルノ監督Erika Lust(エリカ・ラスト)についての記事はこちら

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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